減速して生きる ダウンシフターズ(書評)

読書

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図書館でたまたま手に取った本ですが、超良書だったので紹介します。今の生き方に疑問を持っている人や、今後が不安でいっぱいな人に読んで欲しい一冊です。

本書のテーマはタイトルのとおり、拡大、上昇をひたすら目指すのではなく、減らせるものを減らし、本質的に豊かな生活を実現するという内容になっています。テーマを象徴する記述としては以下の通り。

「もっともっと(more&more)」より「より少なく(less&less)」という生き方こそが自由に繋がることを再確認しました。

著者は高坂勝さんという方で、大卒後、大手小売業に勤めた後30歳で退社し、現在は池袋でユニークなオーガニック・バーを営んでいる方です。

たまにはTSUKIでも眺めましょ(食べログ)

たまにはTSUKIでも眺めましょ(公式アメブロ)

消費社会から総自営業的社会へ

話の内容としては、僕が大好きな本である伊藤洋志さんの「ナリワイをつくる」に近いものを感じました。

モノが大量に溢れ、広告が至るところで目につく日常の中で、会社の利益向上のために本当に必要なのかわからないものを売り続けるために日々を消耗する、そんな毎日に嫌気が差し、会社を辞め、国内、国外を旅して本当に大切なものに気づき、自らバーを開業して、本当に意味で豊かな生活を送っている、という内容だと僕は認識しました。

簡単な概要としては上記の通りなのですが、全体を通してメッセージ性が非常に強い内容となっており、自分が幸せになるにはどうしたらいいのか、今行っていることは本当に必要なことなのか、もっと大切なことは別にあるのではないか、という人生の本質について考えさせられるものとなっています。

その他、オーガニックの素晴らしさ、自給自足することの豊かさなども書かれており、そういったテーマに興味がある方にもオススメできるかと思います。僕自身驚いたのは、当たり前に使っている洗剤や食べている鶏肉なども、事情を詳しく知ると、普通に使用するのがためらわれるほどの事実があることでした。

時間に追われていると本当に大切なものを見失ってしまう

本書の中にこんな話が引用されています。

ある男は愛する女のために世界一高い山に登り、世界一深い海に潜り、世界一広い大陸も横断した。しかし女は去っていった。男が家に居なかったからだ。

僕自身、ベンチャー企業で働いていたためとてもよくわかるのですが、時間に追われていると本当に大切なものを見失います。家族がどう感じているのか、自分に今必要なものは何なのか。はたまた世の中の動きを知る暇もなく、ごく限られた世界のことしか知らないで、視野が狭くなります。人にもよるのでしょうが、少なくとも僕がいた会社では、社員は政治や経済のことなんか何も知らないに等しい状態でした。

そして、給与水準はそれなりに高かったものの、ストレス発散のために酒に金を使ったり、現実逃避の遊びに浪費しており、あまり貯金ができませんでした。僕の同僚にも、20代中盤で年収700万をもらっていたものの、交遊費に金を使いすぎて借金を抱えている人もいました。

そうした経験をしていたため、この本の内容には共感しっぱなしでした。本当に俺は幸せなんだろうか、この先、特別高給取りになるわけでもないのに、子どもの寝顔も見れずに人生過ごすのは何か間違っていないか、と。

結果的に、僕は妻の実家へ移住することにしましたが、その選択は間違っていないと思っていますし、この本を読んでその気持ちが更に強まりました。教育についても、仕事についても多様化が進んでいる今、生きていくために必要なものは、今まで常識だと思っていたものよりも、もっと本質を追求したものになっていくと考えるからです。

まとめ

早い段階からこうした考え方に触れておくのはとても大切だと思いました。追い詰められる前に、こうした方法もあるんだよ、ということを知っておくだけでも、ある人にとっては救いにもなるんでしょうねー。超おすすめ。

photo credit: Smell the fresh cut grass via photopin (license)

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