吉田松陰の留魂録を読んで思うこと

読書

こんにちは。最近は幕末の日本史を勉強しているセキです。

きっかけはいつも聞いているコテンラジオから。

これは高杉晋作の回なのですが、高杉晋作は吉田松陰に学んでおり、松陰の話がたくさん出てくるわけです。

正直なところ、僕もにわか歴史好きなため、幕末の出来事はうろ覚えというか、ほぼわからない状態だったのですが、だからこそこの回は自分にとって神回でした。

現代日本に生きている僕らと、幕末に生きる人々とでは、当たり前ですが価値観が圧倒的に違っており、当時の人たちは未知の諸外国の脅威に直面し、悩み、苦悩しながらも立ち向かっていったことがよくわかりました。

まさしく激動の時代。今の日本があるのは、外国勢に毅然とした態度で立ち向かった人々が作ってくれたことを忘れてはならないと感じました。



吉田松陰の留魂録を読んでみた

コテンラジオを聞いて、幕末の精神を学びたい!と思い、吉田松陰が処刑前に書き残したとされる「留魂録」を購入し、Kindleで読んでみました。

本書は、現代人にも理解しやすいよう、読みやすく訳されており、かつ解説も豊富なので歴史に詳しくない人でもとっつきやすいように思います。

吉田松陰という人について簡単に書いておくと、長州(現在の山口県の西部)の人で、萩で松下村塾という私塾を通じて、子どもたちに教育を施した人で、最終的には当時の老中暗殺を企て、29歳のときに幕府に処刑されます。

松下村塾という名前は聞いたことがある人が多いかと思いますが、実は松下村塾って松陰が開いた私塾ではないんですよね。実際は松陰の叔父が開き、それを松陰が引き継いで教えていました。

特筆すべきは、その松下村塾の門生の中から、歴史に名を残す偉人が多数出ていることです。伊藤博文、山縣有朋、高杉晋作あたりは聞いたことがあるのではないでしょうか。

それ以外にも、日本史に影響を与えた優れた人物を多数排出しているのですが、驚くべきは実際松陰が松下村塾で教えていた期間は、1年と少しの期間しかなかったことです。彼がいかに教育者として優れていたのかがよくわかります。

公のために人生を捧げた人

吉田松陰の人生や留魂録を読んで思うこととしては、この人の人生はまさに公のために尽くして死んだ人なのだな、ということです。

老中暗殺を企てて処刑されるのですが、背景にあったこととしては、ペリー来航を契機として、諸外国の脅威に日本がさらされる中、まともな対応のできない幕府に失望し、国を守るという信念のもと、老中暗殺を企てています。

さらに、国の未来を守ることができるのであれば、自分の命を犠牲にしても構わないと心の底から思っていました。自分が死ぬことで、自分が教えた門下生たちに発起して欲しいと真剣に考えていたようです、というか留魂録にそう書いてあります。

処刑されるときは自分にできることはすべてやりきったと振り返っており、非常に落ち着いた様子で死んでいったとのことです。29歳のまだ青年とも呼べる年齢の人が、そのような精神の境地に至っていたことは驚愕の一言です。

吉田松陰の約30年という短い生涯は、ひらすらに勉学に励み、学んだことを実践することに使われました。

僕も色々な偉人のエピソードを読んだり聞いたりしていますが、吉田松陰ほど一貫して自己を磨き、行動し続け、周りに強い影響を与えた人は見たことがありません。

本書の中では松陰の妹のインタビューの話も出てきますが、幼い頃から勉強一筋で、年中休むことなく、本を読み漁ったとのことです。

偉人というと本当に色々な人がいますが、中には偉業を達成するまでは、世間から見れば全くのダメ人間だったり、やったことは素晴らしいのですが、人格に問題があり、周りを不幸にしたりする人が結構いたりします。

しかし吉田松陰は、自身で何かを成し遂げることはできなかったのですが、自己を磨き、学んだ知識を門下生に還元し、その門下生たちが日本を動かす偉業を次々と成し遂げていく、まさにキングメイカー的な存在だったように思います。

人格的にも非常に優れており、家族や周りの人間から愛され、尊敬された人物とのことです。正直、このような人が日本にいた、ということが僕にとっては衝撃でした。

繰り返しますが、29歳という年齢にありながら、ここまで人として成熟し、周りに影響を与えたというのは、さながら聖人のようにも感じました。

松陰の精神に学ぶ

松陰は人が死ぬべきタイミングについて、大きな偉業を果たせそうなら生きろ、後世に影響を与えられそうなら死ねと高杉晋作に伝えています。

幕末の動乱の時代、死生観は現代とはだいぶ異なりますが、とにかく健康で長く生きよ、という風潮の今の世の中と比較すると、現代は何かが本質的にズレているのかな、と感じます。

今年、今更ではありますが、ドラマの仁を一気に見ました。現代の医者が幕末の江戸時代にタイムスリップする話ですね。

そこでも強く感じたことですが、仁に登場する主要人物は、次の世代の人たちが良く生きられる世を作る、ということをすごく価値観として大切にしているように思いました。

最後の最後で暗殺されてしまう坂本龍馬が主人公の仁に言うセリフが記憶に残っているのですが、「先生、儂は生まれ変わっても、またこの国に生まれてきたいと思える国を作れたかの」というようなことを言うんですよね。

つまり、今後生まれてくる誰かのために生きる、そういう価値観を仁のドラマには感じましたし、この松陰の精神にも同じことを思いました。

そうした誇り高い精神が、果たして今の世の中、ひいては日本にあるのか、と言われると疑問です。

地球を汚染し、個人主義に走り、将来の世代のために投資しないこの国の状況を松陰が見たら、なんと言うでしょうか。

僕は留魂録を読んで、どうやら昔の日本には、今の日本にはない気高い精神があるようだと感じました。

おそらくそれが武士道とかそういうものなのかもしれませんが、「それは武士道だよ」とここで書いてしまえるような、そんな簡単なものではないように思います。

明治維新で日本が西洋化し、世界対戦があり、高度成長で日本が先進国になっていく過程で、日本人は本当はなくしてはいけない大事な価値観を置き忘れてきたのかもしれない。

そんなことを感じさせてくれる「留魂録」でした。

今後はもっと、こうした昔の日本人の精神を学べる本も、読んでいきたいと思います。



まとめ

留魂録は今年読んだ本の中で、最も出会えて良かった本だと感じています。

歴史を学ぶことで、新しい発見が色々ありますが、生涯通して、続けていきたいライフワークですね。

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