小説を貪り読む夏

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ここ最近、更新が滞っておりましたが、無事に生きています。

最近の自分のマイブームは小説で、普段はあまり積極的に小説を読むことはないのですが、超相対性理論で小説に関するテーマが取り上げられ、そこからちょくちょく読むようになりました。

ちなみに、最近読んだ本は以下の3冊。

女のいない男たち

村上春樹の書いた、短編小説集。タイトルの通り、決まったパートナーのいない男たちがテーマで、どれも哀愁漂うストーリーで個人的にはすごく好きだった。

どれも、中途半端とも取れるところで話が終わったりするのだけど、それが読み手の想像の余地を残しており、それもまたいいなと思う。

男は女に対して、色々と想像を巡らせるのだけど、結局理解できることはほぼない。そんな愚かさと愛しさを感じさせてくれる小説。

夜市

恒川光太郎の書いた中編小説で、異なる2話が収録されている。

どちらもいわゆるものの怪というか、この世のものではない存在が出てくるファンタジー要素のある作品で、決してホラーではないのだけど、ややダークなジブリ、といった感じだろうか。

1話目は夜市という、なんでも望むものが手に入る市場で、野球の才能と引き換えに弟を代償として失ってしまった兄が、弟を取り戻すために再び夜市に向かう話。

2話目は妖怪たちが住まう古道に紛れ込んでしまった子どもが、友達とともに古道から脱出しようとする話。

どちらもそこまで後味が良い感じでもないのですが、世界観に加えて、話の伏線回収がうまく、読んでいて楽しめました。

羊は安らかに草を食み

宇佐美まことの書いた長編小説で、ここ最近読んだ小説の中でトップクラスに面白かった。

平均年齢80歳くらいの仲良し3人組のおばあちゃんが主な登場人物で、そのうちの一人が認知症にかかり、施設に入る前に最後の旅行を3人でする、という話。

旅行が進むにつれ、認知症にかかったおばあさんの過去が明らかになっていくのだけど、第二次世界大戦終戦間際の満州で、日本人の難民が満州から日本へ引き返す場面が回想で出てくる。

その悲惨さと、その後に送る人生がまさにドラマチックで、小説として非常に完成度が高いと感じた。

穏やかな表紙とは裏腹に、結構凄惨な内容の話が出てくるので、苦手な人は苦手かもしれないが、それ故に人物像を深く理解することができ、読んでいく中で共感して涙が出る場面もあった。

登場人物が限られた余生を生きる高齢者ということもあり、彼女らにスポットライトが当たることで、そうした世代の方々の価値観を垣間見ることができる。子どもとの関係、健康問題など年齢故の悩みもあるのだが、それ以上に彼女らは一人の人間であり、人生に対する考え方は、非常に参考になる部分があると思う。

昨今、高齢者に対するリスペクトが失われつつある現代社会において、改めてこうした世代の価値観を知ることは、相互理解のためにも必要なことなのではないかと思う。若いから優れてるのではないし、歳を取ったから優れているのでもない。

あくまで一人の人間として理解をすることにより、自分の視野が広がるのを感じた。

まとめ

超相対性理論の中で、小説を読むことは想像力の強化につながる、という話をしていた。

それは改めて本当にそうだなと思い、普段接することのない人々や、自分の身には起こらないであろう事象を追体験することで、自分の視野を広げる一助になると感じた。

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