生涯投資家[書評]

読書

Amazon prime readingで読めますが、生涯投資家という本を読了しました。

著者は2006年にニッポン放送株を買い集め、世間の注目を浴びながら逮捕された、村上ファンド代表の村上世彰氏です。

僕もおぼろげながらに覚えていますが、当時は堀江貴文氏と村上世彰氏が世間の注目をかっさらい、既得権益に守られた企業を壊して、新しい世の中を作ってくれるのでは?とワクワクしながら見ていたように思います。

ただ、堀江氏はともかく、村上ファンドという名前の印象から、村上世彰氏については、便乗して金儲けをしようとしている強烈な人、というイメージしかありませんでした。

コーポレートガバナンス

Amazonの評価を見てもらえばわかる通り、めちゃくちゃ面白く、今年読んだ本の中ではトップ3に入る内容でした。

本の内容としては、村上氏が投資家としてどんな信念で仕事をしてきたのか、また村上世彰とはどんな人物なのかが描かれています。

そんな自伝的な内容ではあるものの、読み進める上で、日本の経済に関する課題が浮き彫りになってきて、その課題の解決のために村上氏がずっと動いてきたことが見えてきます。

話の中心になるのは、コーポレートガバナンスというキーワードですが、要は企業の不正防止と企業価値の向上のための企業統治のことであり、本の中では株主として企業への監視の目を光らせ、企業が資本効率を上げていけるようにする、ということです。

いわゆるモノ言う株主、というやつですね。

株というと、どうしても安く買って高値で売る、金を儲けるためのツール、というイメージが湧いてしまいますが、本来株を買うということは企業の資金調達を援助しているわけであり、オーナーの一人になる、というのと同義です。

つまり、企業のオーナーである以上、その企業の株価が上がれば自分もリターンを得ることができるわけですから、しっかりと企業が価値を向上させるような経営をしているかどうか、見ていかなければいけないわけです。

反対に企業は、株主というオーナーに対して、価値を還元できるよう、誠実に価値向上を目指して取り組まなければいけなく、ざっくりですがこれがコーポレートガバナンスが効いている状態であると理解しています。

ただ、僕も経験がありますが、企業の中には株主の還元など頭に全くなく、社長が自分の会社を私物化しているケースは意外とよく聞きます。というか、以前僕がいた会社がそうでしたw

本書の中にも出てきますが、昔から続いている老舗ほど、コーポレートガバナンスの考えなど皆無で、既得権益にしがみついているケースが見られます。

村上氏はこのコーポレートガバナンスという考え方こそが、企業を健全に成長させていく上で必要な要素であると考え、それを浸透させるために奮闘しますが、世間のイメージから会社の乗っ取りだと思われてしまったり、思わぬ人に裏切られたりと、なかなか理解を得られず苦しみます。

で、最終的には強引とも取れるやり方で逮捕され、姿を消してしまうわけですが、本書で書かれている考え方はものすごく共感でき、結局のところ、日本の経済状況は今も停滞したまま結果が出ていません。

もし、村上氏の考え方が早期に受け入られ、日本の企業の在り方が変わっていれば、また違う未来が待っていたかもしれないと思うと、なんとも言えない気持ちになります。

それくらい、今の日本は将来に希望が持てず、打開策も見えてきません。だからこそ、ここまでこの本が売れ、強制的に退場させられた村上氏の考え方に共感できるのだと思います。

投資家という生き方

この本を読むと、まさにタイトル通り、人生をかけて投資家として貫いてきたことや、投資家とはどんな存在なのか、ということが深く理解できます。

ただ、世間的な投資家のイメージとズレてしまうことから、拝金主義者と心無い批判を受け、まさしく波乱万丈の人生であったのだと思います。

画像を探してもらうとわかりますが、昔テレビで見た村上氏と、今の白髪のおっちゃんが同一人物だと理解するのに時間がかかるほどです。相当心労があったものと察しますし、最後にある、この本を書くことにした理由を読むと、本当にいたたまれない気持ちになります。

ただ、この本を読んで、まさしく今の日本に必要な人物である、という印象を持ちました。おそらく今後、徐々に発信量も増えてこられると思うので、チェックしていきたい人物の一人です。

まとめ

お金は血液であり、循環させないのは健全ではない、というのは企業に限らず個人にも当てはまると思いました。

こんな時代だからこそ、貯蓄だけ、浪費だけではなく、積極的な投資をして、視野を広げていきたいですね。

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